2011年7月30日土曜日

アニメでの画角の決定

gootoohさんのコメントへの回答:画角はフィルムのカメラであれば、焦点距離と露光面の大きさによって変わるので35ミリのフィルムとブローニーサイズのフィルムとでは同じ標準レンズと呼ばれるレンズでも焦点距離が違います。映画のカメラの場合の標準レンズは確か30とか35ミリ位だった思うのでスチルのカメラより少し短いですが、3Dの場合映画のカメラを想定して焦点距離を計算しているのではないかとおもいますが、アニメの場合、人間が手書きで書きますので広角であれ望遠であれ感覚で描いていくしかありません。なので演出家が画角を指定する場合、人物の大きさはこのくらい、それに対して背景の入り込み具合がどのくらいかを伝えるといった感じで指定します。方法は、コンテの画であったり、口頭であったり様々ですが、わかってもらえればどんな説明でも構わないわけです。だから、画面の中の人物はバストアップくらいで70ミリのレンズで撮った感じとか、背景はこの辺が写ってればよいとか。。。。ドラマの場合重要なのは、人物と背景の関係性なので実際の光学レンズをシュミレートすることが目的ではありません。アニメの技術的な問題で嘘をつくこともしばしばありますが、不自然に見えなければいいわけで何を表現したいのか目的を明確に持ってそれが伝わるようにするのが重要です。画角も目的に応じて使い分けます。
もちろん感覚で画角の判断をするのは構わないと思いますが、何故自分がその画角を選んだのか言葉にするように心がけておくと技術として自分の中に蓄積されていくと思います。答えになったでしょうか?

2011年7月29日金曜日

レンズの選択6

ずいぶん時間があいてしまいました…今回は望遠レンズの話。望遠は最近人気ない気がします。超望遠で奥行きをつぶした絵とかは、アニメの構図の基本的な技としてよく使われたんですが、使われすぎて様式化された印象があるのかも。まずは望遠は人間の目の画角より狭いので視野の狭い感じ「集中して見ている」とか「子供の目線」とか表現するのによく使います。特に集中して見ているということを表すのにはよく使われます。いわゆるクローズアップといわれる画はほとんど望遠が使われてますね。広角を使ったクローズアップは背景の情報が増えるので 意図がない場合、うるさい構図に見えてしまう可能性があります。もちろん後ろに写り込む物にもよりますし、広角で駄目ということはないです。

望遠の特徴の一つにレンズディストーションが少ないということがあげられるとおもいます。レンズディストーションの扱いは好みもありますが、強くかかっている場合人間の視線との乖離を感じさせます。なのでレンズディストーションを抑えたい場合、望遠気味で撮るのが良いですが実際の光学レンズだとレンズの明るさや被写界深度の問題で、物理的に使える状況が限定されたり、強くレンズの存在を感じてしまったりする可能性がありますが、アニメの場合被写界深度などは完全に無視出来るのでどんなに遠くから撮った画もつくることは可能です。歪みというのはどうしてもレンズの存在を感じさせてしまうので、それを避けたければ望遠をうまく活用することをおすすめします。

2011年7月21日木曜日

2011年7月3日日曜日

レンズの選択5

被写界深度の話をしようと思いますが、その前に誰が画角を決めるのかという話を少し。
二次元の商業アニメに限った場合、絵コンテの段階で想定されてるのが望ましいと思います。テレビシリーズ最初の方の話は大体監督がコンテを切るので監督以外のコンテマンは監督のコンテを参考にして描くわけですけれども、画角もどういうものを使うとか最初の監督のコンテが作品の方向性を決めます。とはいえ毎度毎度違う話をやるのに加えて、各担当コンテマンの個性もありますから最後は監督が調整をとることになります。人によっては、芝居などの構成はそのままに構図だけ全部直してしまう人もいます。コンテである程度の画角を決めておかないと、担当のアニメーターにお任せになってしまい作品全体の雰囲気をコントロールするのは難しいです。作品によっては監督あるいは総作画監督などの役職の人がレイアウトをチェックして画の雰囲気をコントロールするという場合もあるのでどの段階で固めるということは一概には言えません。ただ大まかな方向性は絵コンテで監督がコントロールすることが必要だと思います。こういう時にはこのレンズというような絶対的答えは無いので、監督が決断していく必要があります。全体を見渡してるのは監督だけですし。そのあとの構図をもっと細かく決めるレイアウトの作業にどこまでメインスタッフが首を突っ込むかというのは現場によってちがいます。あまり首を突っ込みすぎると仕事がこなしきれずに破たんする場合もあります。例えばキャラクターのクローズアップが広角気味でも望遠気味でも演出的な意図はそう変わりませんがロングの画などでは大きく違ってきます。そういうことはコンテでおさえておかないといけません、というようなかんじです。とりあえずこんなところで。。。

さて、被写界深度の話。広角は被写界深度が深くて、望遠は浅いというのが光学レンズの特性ですがアニメの場合何もしなければ全てのものにピントがあってます。で何か見せたいものに焦点を合わせる場合、逆に言うと余計なものから焦点をはずしていくわけです。アニメは絵ですから焦点を外すといってもいくつかやり方があります。
一つは、省略する。細かい形を省くことによって見る人の意識から外していく方法。
一つは、コントラストを下げる。空気遠近法みたいな感じで物を目立たなくさせる。(文字だけだと分かりにくいですね)
まあ他にもありますがそういった選択肢の一つとして光学レンズを模してピントを外すという方法があります。
で、このこととレンズの選択がどういう関係があるかというと、広角レンズは被写界深度が深いので広角の構図の画で、例えば手前になめたもののピントをぼかすと変に見える可能性があるということです。(まあそんなこと普通やらないでしょうけど)
今はデジタルで絵を合成しますからぼかすことは可能なのですが光学レンズではそういうことは起こりませんから不自然に感じてしまうかもしれません。それでぼかさないわけです。
ここで肝心なのは広角はボケない!と安直に考えないことだと思います。ぼかすことは可能なわけだから、広角なのにボケ部分がある画というのも必要ならば作れる訳で、こういう可能性を捨てないことが表現の幅を広げるのではないかと思っています。