2010年10月5日火曜日

抽象性の確保

手描きのアニメというものは、どこまでいっても現実そのものを写した写真にはならない。代わりに抽象性を幅広く保持している。実写のドラマにおいてかわいい女優さんが演じてるキャラクター性はその女優が持つ身体にかなり拘束される。アニメにおいてはかわいい女の子のキャラクターであっても、それをアイドルみたいな女の子から自分の身近にいる女の子までかなり容易に置き換え可能だ。では、抽象度が高ければ物語に入り込みやすいかというとそんなことはなく、実写の方が絵的には明らかに現実と地続きなので世界観を受け入れるには実写の方がはるかに容易だ。
子供のほうがアニメをよく見るの理由は簡単だ。現実との判別がつきやすいからである。子供のころホラー映画など見た日には眠れないことも多々あると思うが大人になるにつれどんなにリアルに作ってあっても現実との判別がつくようになって客観的に楽しめる距離感が得られるようになる。もし、現実との区別が全くつかない物語映画があったとしたら、それは物語としての機能を発揮していないだろう。物語には観客が客観的にみれる仕掛けが不可欠なのだ。
基本的な仕掛けとして、導入部では物語世界に引き込む現実との敷居を低くする仕掛けが要求され、徐々に今度は物語から引きはがしていく仕掛けが必要とされる。
アニメにおいて最大の障害は導入である。物語を観客に読む価値のある現実と地続きであるものとして認識させるのが一番難しい。逆にそこを乗り越えてしまえばあとは容易い。
アニメファンのアニメキャラへの思い入れが尋常で無くなるのは当然だ。観客は一つのキャラクターを見ながらも、それぞれ別の現実や妄想に引きつけていくからだ。かわいい女の子のキャラクター一つから結び付けられる現実は、実写よりはるかに多様だ。
そのことが、現実をより充実させる想像力になるような作品を作っていくことが大事なんだと思う。

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