2009年4月30日木曜日

演出というお仕事

演出家ってどんな仕事なんだろう、と学生の時は思っていた。
もちろん、本で得た知識などで漠然とは知っていたが実際のところ本当に演出家になってしまった後もしばらくはよく分かっていなかったと思う。
『演出』『監督』という言葉自体が仕事の内容を分かりにくくしている気もする。
じゃあ演出ってなんだろう。
例えば、テーブルの上に何かが載っていて、それが林檎だったとする。
それを人に伝えるには、言葉なら『テーブルの上にリンゴがあるよ。』という。
それを絵で伝えるなら「テーブルの上に置かれた紅いリンゴ」の絵を描くだろう。
今度はテーブルの上に乗った林檎が美味しいリンゴだということを伝えたいとする。
言葉なら『テーブルの上に美味しいリンゴがあるよ。』とでも言っておこうか。
これを絵で伝えようとすると……とたんに難しくなる。
誰かが美味しそうに林檎をほお張っている絵を描けばいいだろうか。
言葉にしたところで、八百屋さんが「このリンゴがとても美味しい」ということをお客さんに伝えるには
すごくテクニックがいるだろうと思う。
実際にリンゴを試食してもらうとかが手っ取り早いのかもしれない。
というわけで、どうやったらその『美味しい!』が伝わるのか考えるのが、演出家の基本中の基本の仕事だと思う。
こう考えると、演出家という名前でなくとも演出家的なお仕事は世の中にいくらでもあるのだが…。
それはさておき、例えば同じ旅行に行ってもAさんが話すとものすごく楽しかった旅行に思えるのだが、Bさんの話を聞いてもそうでもない、という体験はないだろうか?
同じ話をしているのに話し上手な人のはすごく面白くきこえる、同じようにフィクションの演出家はどうやったら同じ話がより面白く伝わるかということを考えるのが一般的なお仕事だといえる。
一般的…というのは、演出家の仕事はとんでもなく難しいもので…話が長くなるので今日はこの辺で。

2009年4月29日水曜日

ゴールデンウィーク

何も考えず仕事へ出たが、ふと気がつくと今日は休日だった。
しかし、仕事を始めてこの方祝日など気にしたためしがない。
最近は、制作が気を使ってくれるようになった気もするが、大体皆カレンダーに関係なく働いている。
だが、休日がないわけではなく、世間の人が働いているときに休んでいたりする。
人込みを避けて遊びに行けるのは、フリーランスならではかも。
その代り、会社勤めの友達とは縁遠くなるが、そんな友達もほとんどいないので良しとする。
とはいえ、スタジオにいく電車の中で行楽に行く人たちを見かけるとうらやましくはなるのであるが。

2009年4月28日火曜日

疫病

今年はだいぶ時期がすぎたが、スタジオは風邪はやりだすと恐ろしい。基本的にデスクワークなせいか近くの席の人にあっと言う間にうつっていく。最近は加湿器や空気清浄器を自前で買って防衛してる人もいる。暇な時ならまだしも忙しいときだと周りの人にえらい迷惑をかけるので、みんな気をつけているのだが、引いてしまったらしょうがないので、あとは早く治すのみ。風邪の他には水虫とか。何日も泊まりで不潔にしていたりして恐ろしい目に会った話を漏れ聞く。
気をつけよう…。

2009年4月27日月曜日

痩せる?太る?

もっぱらデスクワークで生活時間も不規則になりがちなこの仕事。忙しくなると太る人と痩せる人に別れる。徹夜をする時、食べて眠気を克服するか食べずに克服するかによって別れるきがする。自分は眠くなるので食べないタイプ。身体を動かしているわけではないので、痩せてても全然健康的じゃない。アニメ業界は自転車好きが結構いるのだが、自転車通勤してきて仕事をこなしてる人は尊敬する。自転車できて3日くらい会社に泊まる人もいるが…。
毎年、今年こそ運動しようと思いつつ一年が終わる。うーん不健康。

2009年4月25日土曜日

渡り鳥

フリーランスで仕事していると、思わぬ場所で一緒になるスタッフがいる。数年振りの再会だったり、全然違うスタジオでの再会だったり。また、直接一緒にならくても知り合いが別の知り合いと仕事をしていたりして、よろしくお伝え下さい、なんて言う事もある。久しぶりに会って、お互い上達してるとなんか嬉しくなったり…。
狭い業界なので同じ人が同じ場所をぐるぐる周っている。ある程度キャリアができるとあまりの世間の狭さに気まずい思いをすることも…。最近は人も会社も随分増えたがそれでも違うスタジオなのにどっかで見た面子だなあなんて日常茶飯事だ。みんな頼りになる知り合いにと声をかけると、どうしても似たスタッフになりがちである。受けた恩は返す、とまた同じスタッフ。しかし、そうしてるうちに新しい出会いもあって面白い。

2009年4月24日金曜日

色のこと

キャラクターなどアニメーターが作画したものの色を決める作業はとても重要だ。背景美術と連携しながら具体的な世界を創っていくのだが、作画したものの色を決めるのは色彩設計および色指定で、センスのいい人がやったのとそうでないのとでは雲泥の差がある。
特に昨今は非常に特殊な色使いをする作品も増えてきたのでその重要度は増していると思う。
しかし一方その重要性を理解してないスタッフも多い。特に最近は撮影でかなり色もの調整をやれるようになったので、色指定の作業などいい加減に考えられてる向きがある。これは、演出だけでなく、当の色指定もだ。賃金もデジタルになってだいぶ楽になったとはいえ、特に高いわけではない。
色はデジタル化されて基本的には、ほぼ無限ともいえる色数を手にした。
なので、本来微妙な色の調整が行えるようになったはずだ。しかし、なかなかそれは使いこなされていないのが現状だ。演出側のアイデア不足も大いにあると思う。
また、モニターの色調整の難しさもなかなか解消できない問題の一つだ。
現状、撮影と仕上げは持っている制作会社は多いが、美術はほぼ外注なので、日常的に同じモニターで確認するのは難しい。
そして、各家庭で視聴するモニターを調整することはもっと難しい。
だが、その差異は技術の進歩で少しづつ埋まっていくだろうし、まだ挑戦できることは山のようにある。

おまかせ

絵の場合だと1カットしか出て来ないキャラクターや小物は、ほとんどの場合担当する原画マンにおまかせになる。
世界観から外れなければ自由にできるので、個性がでるし発揮できる。
原画に限らず演出、仕上、撮影など各部署ごとにお任せになる部分は必ずある。
ある程度技術が向上して来ると色んなことを任せてくれるようになるので、そうなると仕事が楽しくなって来る気がする。かなり自由にやらせてくれる場合もある。
逆にまかせた以上はそのひとの個性をなるべく生かしていくべきで、お互い寛容になりたい。やたらに人任せにするのもどうかとは思うが…。
しかし、最近はおまかせというと困った顔をされる時がある。単に無茶な注文をしているときもあると思うが、時間がないので考えるのがめんどくさいとか単に技術が足りないとか理由は色々だと思うが、そういうチャンスはなるべく挑戦すべしと思う。失敗しても責任は仕事を振った方が取るのだし。
大勢の人間で作っているメリットは色んなアイデアが詰め込まれてるところにあるから。

2009年4月23日木曜日

セリフの長さ

日本のアニメは基本的にアフレコなので演出がセリフの長さを決める。しかし、新番組などで役者が決まっていないと、どんな話かたをするのかわからないので失敗することがある。役者が判っていたところでうまく合わないことは多々あるが。
いずれにせよ、アフレコは役者と演出家の歩み寄りが必要だ。アフレコでいいのは絵が完成していれば役者が絵を見て芝居出来ることだ。
短所は役者が自分の間で芝居しにくいこと。声優の経験が少ない有名な役者が、自分の間でやれなくて持ち味がでていないことがよくある。
アメリカなどで多いプレスコ方式は役者の芝居を先に録るので芝居はしやすいが、役者が絵をみるのは基本的に完成後になる。そしてアニメーターが役者の演技に合わせて絵を描くためにセリフの長さを計ったりする作業が必要になる。
アフレコとプレスコどちらがいいかは一長一短だが、一般的にプレスコの方が絵を描くのに時間がかかるので日本ではアフレコを採用しているところが多いようだ。しかし、もう少し役者の好きな間で演じて欲しいこともあり、そういう時は可能な限り絵をなおすようにしている。
撮影、編集がデジタルになったので間を変えるくらいなら直しの手間は格段にすくなくなったからだ。だが、もっと役者が芝居しやすくなる方法は何かないだろうか?

2009年4月21日火曜日

今晩は雨

雨の表現はセルを使っていた頃は、セルに針のようなもので傷をつけてそれを何枚かランダムに置き換えたりしてつくっていた。最近はCGでどんなパースがついてても簡単に出来るようになった。地面にあったて 出来る波紋まで出来たりしてびっくりする。十数年前の関わった作品で 、撮影さんが雨の素材を持っていたのだが、監督はその素材に納得いかなくて自分がつくったことがある。しかし、なかなかうまく行かなくて何度も何度もやりなおした。結局あまり納得いかないまま撮影することになったが、雨の奥深さを思い知った。CGでの表現がスタンダードになった今、もう一度考え直すと面白いかもしれない。

2009年4月11日土曜日

アニメの教科書

スタジオに入った新人さんがこれを見て勉強してました。
便利な本ができたもんだ。

2009年4月10日金曜日

昼間の撮影効果

夕方や夜のシーンはディフュージョンやグラデーションを入れたりと様々な撮影効果が入ることが多い。しかし昼間の撮影効果となるとレンズフレアや強い光を表現する時、白くとばすくらいしかない。
これをやると昼間の画面に奥行きが出るという決定打は無いようだ。
作画や美術が良ければ通常はなにもしなくてもいい。後ろ向きなことではあるが、特に作画が失敗しているときなど夕方や夜は撮影効果でごまかしが効きやすい。
しかし昼間はこれという方策がない。気を使って作っても、たまにミスはある。そいうときに補える何かがあるといいのだが。
アニメに限らず実写のデイシーンもやはり照明と撮影の技量が大きく出ると思う。日本は特に曇りの日が多いのできれいな光をとるのは難しい。
ハリウッドよりイギリス映画の方が照明がきれいなイメージはある。人物の目のあたりだけすっと差し込みの光を入れたりするのはすごく美しい。
昼間の光を表現するキーワードは常に模索している。

2009年4月5日日曜日

徹夜

足はむくみ、肩や背中は筋肉痛。
年を食うほどにつらくなってきます…。
しかしやらねばならぬ時は、どうしてもさけられない。
アニメーターで会社に住んでる人はいっぱいます。
確かにスタジオとの往復の時間を考えると、とまりたくなるのですが。
朝来て夜帰るという規則正しい生活をしている人は少数派に見受けられます。
規則正しい生活を義務付けているスタジオもありますが、こだわりを実現させるためにはしゃくし定規にいかないこともままあります。
しかし、若い人には自分がちゃんとしているわけでもないのに、規則正しい生活を推奨します。
やはり、体を大事にしてる人の方が長い目で見るとうまくいくので。
体壊すと浮き草稼業はほんとに致命的です。自衛あるのみ。
若い時は一週間くらい家に帰らなくてそれでも楽しかったりしましたが、今は自重です。